それを薔薇の香りであるかのように直に感じとる能力
17世紀英国形而上詩人たちがかつて持っていたとされる
思想と感覚とが分かち難く結びついた感性の復活
Virginia Woolf, 『The Waves』(1931)
http://ebooks.adelaide.edu.au/w/...
それを薔薇の香りであるかのように直に感じとる能力
17世紀英国形而上詩人たちがかつて持っていたとされる
思想と感覚とが分かち難く結びついた感性の復活
Virginia Woolf, 『The Waves』(1931)
http://ebooks.adelaide.edu.au/w/...
ぼくは明るく美しい夢を見ていた
眠りから覚めても
夢は消えず そこにあった
輝く谷間
純粋な空気が満ちあふれ
新しい 感覚の扉が開いた
ぼくは目覚め 叫んだ
ぼくらには 力がある
あほだらどもがやってきたことの埋め合わせをする力が
よい人たちに恩寵を施す力
ぼくらこそが統治者
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
復讐心に燃えた夢たちの雲行きは怪しくなり
なにかを耳にしたかのように身を屈める
軍隊は侵攻をやめた
ぼくらが耳をそばだてていたから
羊飼いと兵士たちが星の下にいた
ヴィジョンをやりとりし
武器を捨て
塵の中で消耗しきっていた
輝く谷間たち
純粋な空気が満ちあふれ
新しい 感覚の扉が開く
ぼくは目覚め 叫ぶ
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
砂漠だったところに
泉がいくつもあって
まるでクリームみたいに水が噴き上がり
ぼくらは一緒にぶらつき歩いた
笑ったり批判したりするものなどいなかった
豹と子羊が
ほんとうの絆で結ばれ
一緒に横たわっていた
ぼくは願った
かつて見つけたものを取り戻せるように
ぼくは夢のなかで
もっと清らかな光景を
ずっと夢見続けていた
眠りに身を委ねながら
ぼくの夢をきみに託す
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
夢見る力 支配する力
あほだらどもから世界を取り戻す力
ぼくらが統治者
ぼくらこそが統治者
よく聞いてくれ
ぼくは信じる
ぼくらが夢見ることすべてが
ぼくたちひとりひとりに伝わり ぼくらを団結させてくれる
ぼくらが世界の流れを変え
地球を回転させることができる
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらには 力がある
ぼくらが 力を握ってる
試訳 by Lucy / Keiko Aoyama
明日を決めるのは 私 たち
「おれは声をあげ
今、アメリカ語からマントラをつくろう
おれは戦争の終結をここに宣言する!
いにしえの日々の幻影!――
おれ自身の千年紀(ミレニアム)の始まりの言葉を発しよう
合衆国よ震えよ
国をしてすすり泣かしめよ、
議会をして自らの喜びを制定せしめ
大統領に自らの欲望を執行させるのだ――」
アレン・ギンズバーグ『ウィチタ渦巻スートラ』
(『新潮』2016年6月号、アレン・ギンズバーグ、五篇の詩/村上春樹・柴田元幸訳より)
私たちも私たちの言葉でマントラをつくろう
善きものは同時に悪もかかえている
ナチスドイツの政権下
ドイツの一般市民たちの多くはごくふつうの善き人たちで
目の前からかつての隣人たちが大勢消えて行ったけど
そのひとたちの命の行き先について真剣に考えたりはしなかった
自分たちの家族の日々の暮らしとささやかなしあわせを守ることを優先した
暗闇のむこうにあるものは考えないようにした
善き人たちはそんなつもりじゃなかったかもしれないけれど一致団結し
ありえないはずのものを
確実に可能にしていった
ホロコーストの地獄を
善きものは同時に悪もかかえているということを受け入れない限り
悪の暴走を抑えることはできない
アイヒマンは怪物でも倒錯的サディストでもなかった
彼は命令されたことを時計のように正確に遂行した「ふつうの善き人」のひとりだった
このことのグロテスクさと救いがたさ
人類が歴史上初めて直面したこの問題をアイヒマン問題と名付けるなら
アイヒマン問題の深刻さに初めて気づきそのことを言語化していったのがハンナ・アーレント
すべての物事を善と悪とに分類し
その際の判断の基準を自らに対して問い正すことのないまま
悪と判断したものを徹底的に排除し自分から遠ざけることで
善としての自己の安定を保とうとする
こうした精神のあり方からひとりひとりが解放されていかない限り
わたしたちは
あのアイヒマンと同じ
善き人であるだけじゃあだめなんだ
無自覚なままアイヒマンになってしまっているかもしれないんだから
わたしにとってそれはものすごく怖いこと
どうしてそれはいいこと?
なぜ?
どうしてそれは悪いこと?
なぜ?
どうしてそんなふうに判断したの
どうして?
どうしてだろう?
わたしのコンプレックスのせい?
とか
いろいろ考えてみる
いろいろ考えている
イデオロギーとか
主義 ( -ism ) とか
党派とか
そんな罠たちに絡め取られたくはない
情熱に抱かれ燃える叡智になりたい
映画『ハンナ・アーレント』http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
2014年12月6日追記:
DVDでもまた繰り返し見てみたいと思っています。
http://www.amazon.co.jp/dp/...