書籍

『9条どうでしょう』

2003年日本政府は「イラク人道復興支援特措法」を成立させ、海外の戦闘地域へ自衛隊を派兵した。これは憲法9条に違反する行為だとわたしは今でも思っている。 けれど法の解釈によっては「イラク人道復興支援特措法」も「イラク特措法に基づく対応措置に関す…

『いま平和とは ー 人権と人道をめぐる9話』

<「新しい戦争」の時代に あきらめずに考える > 【目次】 はじめに 第1話 尽きせぬ武力紛争ーー「新しい戦争」の時代に 1 ボブ・ディランとエラスムスーー不変の願望 2 冷戦とは何であったのか 3 「新しい戦争」 4 平和の逆説 第2話 未完の理想ーー…

小猫治療院

伊丹十三氏が自らのエッセイの中で、かつて大いに愛用していたと述べている治療院。専門はあんま。 『日本世間噺大系』に収められたエッセイに登場。 むにゅ、むにゅ、むにゅ、というのが、小猫治療院が治療を施しているとき発せられる音であったろうと想像。…

人間は国籍をこえて人間である

「フランスに『国境なき医師団」という組織がある。全くの民間団体である。世界で災害など起こると、まず最初に現地に姿をみせるのは、この「医師団」だという。《平和憲法を持つ日本からではない》。そこには五〇〇〇人をこえる世界各国の医師が登録してい…

世界を幸せにするグローバリズムの道

《今日、グローバリゼーションに異議を唱える声が世界中であがっている。グローバリゼーションにたいする不満は当然のことだ。ただ、グローバリゼーションは世のための力となりうることもたしかだ。民主主義や市民社会の理念のグローバル化は人びとの考え方…

アーティスト・デートを続けよう

「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである」(吉田健一) そう、この言葉、とっても深いって思う。それから、わたしは、すべてのひとがアーティストになっちゃえばいいのにって、いつも思ってる。各自の創造性をフル…

井筒俊彦『イスラーム文化』

「日本人にとってイスラームはいままで、いわばまるであかの他人でした。ところがそのイスラームがぬっと顔をわれわれの目の前に突き出してきたとでもいうところでしょうか。現代の日本人にとって、中国文化や西欧文化はーーそしてインド文化もある程度まで…

「イスラム原理主義 (Islamic Fundamentalism)」って言葉は要注意

反イスラム的言説はこれまで、イスラム社会というのは、テロと暴力、人権抑圧、反民主主義といった問題だらけの社会システムであり、それはひとえに「イスラム原理主義」のせいだと非難し続けてきた。 ところが、ところがですよ、この「原理主義 (Fundamenta…

グノーシス主義 (Gnosticism)

「死人たちは生きていないのであり、 生きている者は死なないであろう」『トマスによる福音書』 従来の一般的な解説において、グノーシス主義 (Gnosticism) とは、紀元2世紀頃をそのピーク期とする、紀元1世紀から3世紀にわたる約三百年のあいだに初期キ…

GODARD を転がせ / ROLLING GODARD

男たちには男たちの限界があり どんなに語りたくてもどうしても語れないなにかがある 女たちにも女たちの限界があり どんなに語りたくてもどうしても語れないなにかがある そのことに気づかせてくれたのが GODARD だからわたしは GODARD に深く感謝し これか…

済州島四・三事件

済州島四・三事件 茫然自失のあまり言葉を失い、その前でただ立ちつくすしかないほどの残虐非道。人間が、わたしたちと同じ人間が、目を覆うばかりのむごたらしさで殺されていく。人間が、わたしたちと同じ人間が、まるでハエを叩きつぶすかのごとく、当たり…

拒否権が行使されそうだったから安保理決議を回避したってわけ?

この KW は「「国連憲章第107条」すなわち「旧敵国条項」ってなに?」http://www.kanshin.com/index.php3?... の続きである。 「「国連憲章第107条」すなわち「旧敵国条項」ってなに?」の KW は、現在の国連における常任理事国の特権とそこから派生する現在…

経済制裁によるイラクの死者の数

「2001年、 国連は経済制裁による イラクの死者の数を 百五十万人と推定する レポートを発表した。 このうちの六十二万人が 五歳以下の子供だった」 経済制裁によるイラクの死者の数、百五十万人 百五十万人これは2003年3月1日現在の京都市の人口に匹敵する …

大衆消費社会におけるわたしたち消費者の役割についての一考察:世界的一斉ボイコット--アメリカ製品およびサービスに対する

わたしの反戦デビュー記念日となった3月21日。このパレードの際、いろんな人からいろんなビラを貰った。そのなかでわたしの興味を引いたもののひとつが《平和のために買わない・選ばない!》というアメリカ製品・サービスの世界一斉ボイコット運動だった。 …

二重思考 / doublethink

「ウィンストンは両腕をだらりと下げてゆっくりと肺臓に空気を満たした。心は "二重思考" の迷路に滑り込んでいった。知ること、そして知ってはいけないこと、完全な真実を意識していながら注意深く組み立てられた虚構を口にすること、相殺し合う二つの意見…

政治における《嘘》・組織的な《嘘》

「WAR IS PEACE FREEDOM IS SLAVERY IGNORANCE IS STRENGTH. (戦争が平和 自由は奴隷状態 無知が力) 」 (ジョージ・オーウェル『1984 』) 「もしも、嘘が真理のようにたった一つの面しかもたないのであればわれわれはずっと好都合であろう。なぜなら、わ…

" Fair is foul, and foul is fair "

きれいは きたない きたないは きれい (『マクベス』一幕一場)

ゆたかな経験が蝕まれ、その結果、巨大な精神的貧困が生まれた

「小学校の教科書に、ひとりの老人についての寓話がのっていた。この老人は臨終にさいして、自家の葡萄山には宝がうずめてある、と息子たちに教える。しかし、いくら息子たちが山を掘りかえしてみても、宝などひとかけらも出てこない。やがて秋がきて、その…

ベンヤミンのことば

「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは 橋でも翼でもなくて、友の足音だ」 友人ヘルベルト・ベルモーレあての手紙(『書簡 I』)

『ヴァルター・ベンヤミン著作集1--暴力批判論』

1969年に晶文社から出た『ベンヤミン著作集1』。 収められているのは「暴力批判論」「運命と性格」「知識人の政治化」「ドイツ・ファシズムの理論」「左翼メランコリー」「破壊的性格」「経験と貧困」といった論文、そして、彼の死によって草稿のまま残され…

「戦争とは精神状態です」

「銃弾の音や、頭上を通るヘリコプターのプロペラではないのです。戦争は、それを生きる人間の心の中にあり、戦いが終わった後も消し去ることは出来ません」。(『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチ監督の言葉) 「僕の映画が意図するのは、責任…

歓迎されない事実の「真理」は「意見」ということにされちゃう

「おそらく以前であれば、宗教や哲学の事柄に関して多様な意見が寛容に扱われることなどなかったのに対して、今日では事実の真理がたまたま既存の集団の利益や快楽に対立するや、以前にもまして激しい敵意で迎えられる。」 興味深くありません? 「なるほど…

多元的なイメージを合成する思考法

「われわれの社会における言語が組織の多元化と並行して複数的になるということ、それからイメージ自身が、それがどんなに元来の対象から離れていても、そのイメージなりに社会的に通用して、独自の力になっていくという、この基本的な事実から出発して、全…