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憎悪の連鎖を断ち切らねば

ゴダール映画『JLG / 自画像』のなかで JLG が白い紙にマジックで書いた《ステレオ理論の三角形》

ヴィトゲンシュタインの『確実性の問題』とディドロの『盲人書簡』の一節を朗読した後、 JLG は次のように言いながら《ステレオ理論の三角形》を書き始める。

《JLG :今度はジャノ、私の番だ。ステレオと韻を踏む。ステレオは犬と盲人のためにできた。彼らはこう投射し、投射はこうなる。この投射のなかで見聴きする私は。この位置にいる。私は正面で投射を受けとめ、こう反射する。この図形が私の状況だ。これがステレオの顔だ。だが、この顔を歴史で見るとどうなるか。ステレオは歴史にも存在する。ユークリッドがいた。ついでパスカルパスカル省察したのは神秘の六線星形。だが歴史には、歴史の歴史には、ドイツがいて、イスラエルに投射した。イスラエルはそれに対して反射して、自分たちの印を見つけた。ステレオの掟は続き、イスラエルパレスチナに投射し、パレスチナも投射を返し、苦難を背負う。これが真のステレオ伝説だ。》

2003年、われわれ人間は20世紀の愚行からなにも学ぼうとせず、新たなる《ステレオの掟》を作動させようとしている。憎悪からは憎悪しか生まれない。《憎悪の連鎖》をどこかで断ち切ることなしに《ステレオの掟》の呪縛を解くことはできない。

《憎悪の連鎖》を断ち切るためにわれわれはなにをすべきか・・・

この場面で朗読されていた文章:

「『両手はあるか?』と盲人に聞かれ、両手が見えたら確信できるか? なぜ自分の目が確かだと信じうるのか。 確かめるべきは、むしろ目ではないのか? 両手が見えているかどうか。」(ヴィトゲンシュタイン『確実性の問題』)

「彼女は『心と精神の美点こそ恐ろしいと言った。目が見えないことは、特に女には利点ですの。美男の殿方を振り返って見ませんから』。さらに『幾何学者は生涯ほとんど目を開かないそうね』と」(ディドロ『盲人書簡』)

六線星形(六茫星形):両性具有と対立物の統一を表す。ダビデの印(ダビデの盾:交錯する2つの三角形)。第二次大戦中ナチがユダヤ人を蔑視するために身につけさせたので、恥辱のしるしの意味も持つようになる。

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