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政治における《嘘》・組織的な《嘘》

「WAR IS PEACE

 FREEDOM IS SLAVERY

 IGNORANCE IS STRENGTH.

 (戦争が平和

   自由は奴隷状態

    無知が力)    」

  (ジョージ・オーウェル『1984 』)

「もしも、嘘が真理のようにたった一つの面しかもたないのであればわれわれはずっと好都合であろう。なぜなら、われわれは嘘つきのいっていることの逆を真実だと思えばいいのだから。けれども、真理の裏面は無数の顔と無限の広さをもっている」

  (モンテーニュ『エセー』第1巻第9章)

真理の裏面である《嘘》が「無数の顔と無限の広さ」をもつことを指摘するモンテーニュのこの鋭い洞察は、「真理と政治」(『過去と未来の間』所収)のなかでハンナ・アーレントにより引用されている箇所でもある。「真理と政治」においてアーレントは、真理と政治との敵対関係を指摘し、その内容を歴史的に検討していきながら、《現代》という時代に新たに生じ、かつ、それゆえ絶望的な状況へと連なってゆく重大なる危険として、《組織的な嘘》《事実操作》に警告を発する。

《政治》が自らにとっての敵である《真理》を滅ぼそうする場合、《組織的な嘘》を用いるのがきわめて有効であり、それは《政治》にとっての《真理》打倒の強力な武器になるのである。

《組織的な嘘》

「虚構の世界を築くには嘘に頼るしかないことは明らかであるが、その世界を確実に維持するには嘘はすぐばれるという周知の格言が本当にならないようにし得るほどの緻密な、矛盾のない嘘の網が必要である。全体主義組織では、嘘は構造的に組織自体の中に、それも段階的に組み込まれることによって一貫性を与えられている」

  (『全体主義の起源3 -- 全体主義』)