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井筒俊彦『イスラーム文化』

「日本人にとってイスラームはいままで、いわばまるであかの他人でした。ところがそのイスラームがぬっと顔をわれわれの目の前に突き出してきたとでもいうところでしょうか。現代の日本人にとって、中国文化や西欧文化はーーそしてインド文化もある程度までーー見なれた隣人の文化であります。これに反してイスラームはわれわれにとって文字通り異邦人、隣人にはなりはしたものの、まことに妙な隣人の文化です。イスラームとはいったい何なのか、イスラーム教徒(ムスリム)と呼ばれる人たちはどう考えているのか、彼らはどういう状況で、何にどう反応するのか、イスラームという文化はいったいどんな本質を持っているのか、ーーそれをわれわれは的確に把えなければならない。それがはっきり主体的に呑みこめないかぎり、イスラームを含む多元的国際社会なるものを、具体的な形で構想したり、云々したりすることはできないからであります。イスラームという宗教の性格、イスラームという文化の機構が根源的な形で把握されてはじめて、イスラームはわれわれ日本人の複数座標軸的な世界意識の構成要素としてわれわれのうちに創造的に機能することができるようになるでありましょう。」

この洞察の先見性。必読書。