ビッグイシュー日本版 144号:特集 今、南アフリカ。めざす和解と多様性

2010年 FIFA ワールドカップの開会式を目前に控えて発行された『ビッグイシュー日本版 (THE BIG ISSUE JAPAN)』144号は南アフリカを本気で特集。

「自由とは、自分の鎖をはずすだけでなく、他人の自由を尊重し支える生き方」であると考えるネルソン・マンデラの理念を継承していくことの大切さを強調する南アフリカのライターによるリポート。

そして『真実委員会という選択』の著者による「真実和解委員会」についての解説は、できるだけ多くの人に目を通してもらいたい重要なもの。

アパルトヘイト後の南アフリカは、アパルトヘイト政権下において行われた拷問や殺人を始めとするさまざまな人権侵害をどのように扱うかという大問題に直面する。厳しく処罰すべきか、あるいは不問に付すか。しかし南アフリカは「和解」という第三の道を選択する。そこで「真実和解委員会」が1995年に「設置され、公聴会で「加害者に対しても、自分が犯した加害行為をすべて証言するなど、ある条件を満たせば特赦を与える」ことになる。

「真実和解委員会」では公的機関は被害者の立場に立つ。

公聴会は、それに参加した被害者に心理的癒しを与える効果を持つ。

さらに、被害者の心境の変化に触れた加害者の方にも、心理的変化が起きることがあり、それが「和解」の可能性への扉を開く。

「真実和解委員会」は弁護士と検察官が法廷で競い合うだけになりがちな普通の裁判とは根本的に異なる。裁判は裁きを下すことを目的としており、被害者と加害者のあいだの和解を目的とはしていないから。

南アフリカの「真実和解委員会」のルーツは、1980年代に「人権侵害調査委員会」を設置したアルゼンチンやチリなどラテンアメリカにあり、この精神を受け継いだ南アフリカの「真実和解委員会」は、今や世界中でひとつの大きな流れを作り出そうとしている。

「たとえば韓国では、朝鮮戦争時の同胞虐殺に関する真実和解委員会が立ち上がり、犠牲者の遺骨発掘作業が行われた。同じくカナダでも、先住民族に対する人権侵害を調査する真実和解委員会が、政府の公式謝罪を引き出した。」(『THE BIG ISSUE JAPAN』144号, p. 15)

「人々の失踪に関する Nacional 委員会」in アルゼンチン

エルサルバドルのための真実に関する委員会」in エルサルバドル

「インディアン レジデンシャル スクールs 真実和解委員会」in カナダ

「歴史解明委員会・CEH」in グアテマラ

「真実和解委員会」in シエラレオネ

「真実和解委員会」in ソロモン諸島

「真実和解のための過去史整理委員会」in 大韓民国

「真実和解のための Nacional 委員会」in チリ

「レッティグ報告書」in チリ

「政治的な収監や拷問に関する Nacional 委員会」in チリ

東ティモールにおける受容真実和解委員会」in 東ティモール

インドネシア東ティモール 真実友好委員会」in 東ティモール

「和解統一委員会」in フィジー

「真実和解委員会」in ペルー

「真実和解委員会」in 南アフリカ

「公義和解委員会」in モロッコ

「真実和解委員会」in リベリア

「グリーンズボロ 真実和解委員会・GTRC」in USA

Wikipedia 真実和解委員会より)

日本はどうする?

世界はどうする?

「この長い孤独な年月の間に、同胞の自由を求める私の気持ちは、黒人も白人も含めたすべての人々の自由を求める気持ちに変わっていった。抑圧された人々が解放されるのと同じように、抑圧する側も解放されなくてはいけない。他人の自由を奪うものは、憎しみの囚人であり、偏見と小心さの檻に閉じ込められている。私がもし誰かの自由を奪ったとしたら、自分の自由が奪われた時と同じように、私は真から自由ではないのだ。抑圧される側も抑圧する側も、人間性を奪われている点では変わりない……自由になるということは、自分の鎖をはずすだけではなく、他人の自由を尊重し、支えるような生き方をするということでもある。自由に対する私たちの心構えの深さが、本当に試されるのはこれからだ」(ネルソン・マンデラ『自伝』より)

『THE BIG ISSUE SOUTH AFRICA』

http://www.bigissue.org.za/

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『THE BIG ISSUE JAPAN』144号

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『THE BIG ISSUE JAPAN』 88号

知らなかったアフリカ、新しいアフリカ

― 今、西洋の進歩史観をこえたアフリカの歴史的知恵が注目され始めている

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真実和解委員会 Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/...

本当に試されるのはこれからだ

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