今年 (2003年) はイラン映画もたくさん見ました。「東京フィルメックス」映画祭で上映された、メールジュイ監督の「郵便配達 」(主人公の名前はタギ)、ファッロフザード監督の「あの家は黒い」、タグヴァイ監督の 「リリース 」、ベイザイ 監督の「 旅」(悲しく切ない話なんだけど少年たちのあの生き生きとした動きに心が躍った)、ナデリ監督の 「 期待」(ガラスの器に反射する光。ガラスの器があんなに美しく、あんなに特別なものに見えるなんて)、キアロスタミ監督の「経験」(イラン版『大人は分かってくれない』みたいだった。ストーリーはぜんぜん違うけど)。どの映画も見にきて良かったと思わせるものばかり。ほんと、よかった。
これら以外に今年見たイラン映画は:
マジッド・マジディ監督の『少女の髪どめ』
http://movie.goo.ne.jp/contents/...
サミラ・マフマルバフ監督の『りんご』
http://movie.goo.ne.jp/movies/...
『セプテンバー11』の一番最初の作品(煉瓦で核シェルターを作るために働く子供たち。教室に集められ、先生から、米国で超高層ビルが破壊され多くの人が亡くなったと知らされるが、意味が分からない。考えてみるよう言われ、高い煙突を見上げる子供たち。その顔。顔。顔。子供たちの顔)は、このマフマルバフ監督によるもの(忘れがたい映像)。
それからアッバス・キアロスタミ監督が小津安二郎監督へのトリビュートとして作った最新作『5 five ~小津安二郎に捧げる (FIVE Dedicated to OZU)』。かなり変わった映像表現(5種類の異なる映像の連なり)。
http://www.nhk.or.jp/sun_asia/aff/j/...
バタバタと大きな足音を立てるものたち
皆が一斉にひとつ方向を目指して急いでいる
けれどその動きには単純なトリックが隠されていた
かれらはただ単に餌に釣られて動いているにすぎなかった
暗闇
水面
カエルが鳴く声
暗闇
水面
鶏の鳴き声
まだ暗闇
遠くからコーランが聞こえてくる
"The darkest hour is that comes before the dawn (最も暗きは夜明け前)" という諺を思い出しました。
-- December 31, 2003 更新 --
11月22日 (Sat) ~30日 (Sun) まで有楽町朝日ホールなどにて開催される「東京フィルメックス」映画祭で、「イスラム革命前のイラン映画」が特別上映されます。
《近年国際的な注目を集めるイラン映画ですが、かつて1970年代前半に第一次黄金期となり多くの傑作が生まれました。しかし、1979年のイスラム革命後は厳格な検閲が設けられ、その多くは現在ではイラン国内でも上映の機会がほとんどありません。これまで日本に紹介されたイラン映画の源流ともいえる60~70年代作品より中短編含め全7作品を上映。》
とのことです。
ー上映作品ー
◇「大地 (The Earth)」監督:マスード・キミヤイー
Iran / 1974 / 100min.
◇「郵便配達 (Postman)」監督:ダリウシュ・メールジュイ
Iran / 1973 / 103min.
◇「あの家は黒い (The House is Black)」監督:フォルーグ・ファッロフザード
Iran / 1962 / 22min.
◇「リリース (Release)」監督:ナセール・タグヴァイ
Iran / 1973 / 23min.
◇「 旅(The Journey)」監督:バハラム・ベイザイ
Iran / 1972 / 34min.
◇「 期待(Waiting)」監督:アミール・ナデリ
Iran / 1974 / 43min.
◇「経験 (Experience)」監督:アッバス・キアロスタミ
Iran / 1973 / 60min.
http://www.filmex.net/2003/...
-- November 21, 2003 --