「憲法改正国民投票法案」とはどのようなものなのだろう

「【国民投票法案】

 整備されていない憲法改正の具体的な手続きを定める法案。改憲には衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成が必要となる。衆院は昨年9月、同法案を審議する特別委員会を設置した。与党は当初、新聞などの編集局長らが自らの地位を不当に利用し国民投票結果に影響を与える目的で報道することを禁止。虚偽報道、予想投票発表の禁止などメディア規制を行う方針だったが、民主党などの批判を受け撤回した。 」

(「東奥日報 ニュース百科 2006年2月10日」より)

http://www.toonippo.co.jp/...

憲法改正 国民投票法

http://www.k3.dion.ne.jp/...

憲法改正 国民投票法 案 要綱

http://www.k3.dion.ne.jp/...

国民投票法案とはhttp://d.hatena.ne.jp/keyword/...

国民投票法Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/...

「市民意見広告運動」による国民投票法案批判 

http://www.ikenkoukoku.jp/

憲法改正国民投票法案」の問題点

http://www.jca.apc.org/...

Yahoo ニュース「国民投票法案」http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/...

これはとても大事な法案のはずだ。なのに、きちんとした報道がほとんどなされていない。日本のジャーナリズムはいったいどうなっているのか。とても残念なことだ。

今のところ報道されるのはこの程度の切れ切れの情報のみ(22 May 2006 現在)。

*NIKKEI NET 「与党、国民投票法案の今国会提出を確認」

自民、公明両党は19日の与党協議会で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案を与党単独で今国会に提出する方針を確認した。メディア規制の「配慮規定」をすべて削除し、公務員や教職員による国民投票運動の禁止を盛り込んだ新たな与党案の大綱も了承した。民主党の独自案提出の動きを見極めながら月内の提出を目指す。

法案の正式名称は憲法改正手続き法案。大綱は(1)投票権者年齢は20歳以上(2)国民投票憲法改正に限定(3)憲法改正案の賛否は項目ごとに問うなどが柱。メディア規制は撤廃た投票週間前からのテレビCM規制は維持した。

与党案はメディア規制などで民主党の主張に譲歩した面が強く、与党は法案提出後に民主党との修正協議を模索する考え。ただ投票権者年齢や、国民投票の対象範囲、白紙投票の扱いをめぐり意見の隔たりは残っており、協議の行方は不透明だ。

( 2006.05.19 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt51/... )

【28 May 2006 追記】

朝日新聞社説「国民投票法 じっくり議論しよう」

憲法を改正するときに行われる国民投票のやり方を定める法案が国会に提出された。自民、公明両党がまとめた与党案に対し、民主党も対案を出した。

憲法は改正の要件として、衆参各院で3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数が賛成することを定めている。だが、投票の具体的な仕組みについては規定がない。それを法律で整備しようというわけである。

憲法が公布されて60年。これまで未整備できたのは、憲法をめぐる戦後政治の深い対立状況があったからだ。手続き法であっても、改憲への一歩として国論の激しい分裂を招く。そんな懸念から、歴代の自民党政権も手をつけずにきた。

それが動き出したのは、改憲に対する人々の意識が変わり、政党の対応が変化してきたことの反映だ。

中身はともかく、改憲に賛成する世論が過半数を占める。国会の憲法調査会も5年がかりで議論を重ねてきた。国民投票のあり方について具体案を示して論議する段階になったということだろう。

与党案は、原案の段階で批判されたメディア規制を削除した。拡大解釈されてメディアの自由な評論、報道を制約しかねないものだった。そうした規定のない民主党案に歩み寄ったのは当然だ。

さらに、変更しようとする条文を一括して賛否を問うのか、個別に問うのかという問題でも、一括を主張していた与党側が譲り、民主党案ともども個別で問うという趣旨が盛り込まれた。

「この部分は賛成だが、あの部分は反対だ」というふうに、有権者の判断は論点によって分かれる可能性がある。それを無理に束ねるべきではない。

両案には大きな対立点もある。投票で問うのは憲法改正だけか、ほかのテーマも対象にするか。有権者は20歳以上か、18歳以上か。有効投票の「過半数」にするか、無効票も含む総投票数を基準に考えるか。

国民投票は、賛成か反対かという国民の意思を確認することに主眼がある。議員らを選ぶ選挙とは性格が違うのだから、有権者の年齢など、異なるやり方があっていいはずだ。幅広い視点から議論を重ねてもらいたい。

最も大切なのは、国民が内容をよく理解し、熟慮のうえに判断を下せる仕組みと環境を整えることだ。

その点で、両案とも国会の発議から国民投票の実施までを「60日以後、180日以内」としたのは不満である。60日はいかにも短い。一時の熱狂的な雰囲気で投票行動が極端な方向に走る危険も想定しうる。じっくり考える時間が必要だ。

さまざまな立場の声を公平に伝える機会もつくらねばならない。大量のテレビ広告を流せる資金力がものをいうような競争にしてはならない。

肝心の憲法改正の中身の議論はまだまだ煮詰まっていない。手続きを定める国民投票法づくりを急ぐ理由はない。国会はしっかりと議論を尽くすべきだ。

(2006年05月27日付  

http://www.asahi.com/paper/...

【1st June 2006 追記】

毎日新聞社説「国民投票法案 何より合意形成が大切だ」

与党と民主党が別々に提出した国民投票法案の審議が1日から始まる。既に今国会では両案とも継続審議とし、次期国会に先送りとなる見通しとなっているが、憲法改正の手続きを定める重要な法案だ。最も大切なのは与野党の合意形成である。国会閉会後も精力的に協議し、双方が納得する結論を出してもらいたい。

与党と民主党は、これまでの協議で、変更する条文をすべて一括して発議してイエスかノーかを国民に問う方式ではなく、基本的に各条文を個別に問うことにした点や、報道規制を削除する点などでは歩み寄っている。

ただ違いも大きい。投票方式について、与党案は「賛成は○、反対は×、白票などは無効」と定めているが、民主党案は「賛成は○、その他は反対とみなす」としている。憲法改正が認められる「過半数」の定義も、与党案が「有効投票総数の過半数」であるのに対し、民主党案は「投票総数の過半数」となっている。

投票権者は、「20歳以上」という与党案に対し、民主党案は「18歳以上」で、国会の議決があれば、その時の投票に限り、「16歳以上」も可能と定めた。さらに、与党案は国民投票の対象を憲法改正に限定しているが、民主党案は「国政における重要な問題にかかわる案件」まで拡大している。

総じて、民主党案は憲法改正へのハードルを高く設定する一方、自治体での住民投票的な手法を国政にも取り入れようとしている意図があるといえるだろう。

不備なままになっている手続きを定めるのは当然である。そして私たちは従来、「18歳から投票権を」とも主張してきた。若い世代の声を反映させることに不都合はない。「16歳以上」まで拡大するかどうかは、今後の合意形成を見守りたいと思う。

だが、残る対立点は、なお長所と短所を吟味する必要がある。例えば投票方式だ。憲法改正は重要な案件だけに「明確な○以外は、反対とカウントすべきだ」というのが民主党の考え方であり、与党からすれば「無効票は明確な反対ではない」というわけだ。

これに関して言えば、最低投票率を設けるかどうかの議論も決着はついていない。余りに投票率が低かった場合、それを国民の意思と言えるのか、あるいは通常の選挙と同様、投票所に足を運ばないことも有権者の一つの判断とみなすのか。今後詰めたいところだ。

このほか、憲法改正以外の課題も投票の対象とする民主党案は、その投票結果は「政府を拘束しない」としているものの、議会制民主主義における政策決定のあり方に深くかかわる問題だ。これも、じっくり議論すべきだろう。

そもそも政界では憲法改正への熱気が一時に比べ薄らいでいる。このため、手続き法の制定も緊急性があるとは思わない。ただ、どこかで一致点を見いだす努力は与野党ともすべきだ。仮に手続き法でさえコンセンサスが作れないというのなら、まして憲法改正はまだまだ「先」という話である。

(2006年6月1日 1時38分 http://210.158.208.70/eye/shasetsu/...