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GODARD がいるから生きていける in 2003

というわけで、シネセゾン渋谷で4月5日から始まっている「とっておきゴダール4作品連続上映」時限レイトショーですが、ふと気がつくと本日、2003年4月18日は、『右側に気をつけろ(Soigne ta droite)』を当劇場で見ることのできる最終日でありました。そこで急遽、大急ぎの KW 更新(だよ~っ)。

『右側に気をつけろ』にはゴダール自身が登場します。そして、車に乗車する仕方が理解できないがゆえ、車にどうしても乗り込むことのできない男をのっけから演じ、そのストレートなズッコケぶりに、わたしはまたもや暗闇でお腹抱えて大笑いのこんこんちきだったわけですが、映画が進行するにつれ、次第にまったく笑えなくなっていく、いやむしろ、「う~ん」と唸りながらマジに考え込んでしまっている自分に気づいてしまう、それがわたしにとっての〈この映画〉でした。

もっと具体的にどんな映画だったのかについては、ゴダール映画のほとんどがそうであるように、簡単に言語化することはできません。現在もなお、ひたすら考え中です。ただ、この映画を見終えた時、わたしがゴダールについて初めて分かったことがひとつあります。それは、ゴダールは《臨死体験》を持つ人だということ。おそらく彼はあのオートバイ事故の後、あちらの世界をかいま見てしまったのだと思います。

この世とあの世はガラス張りの窓のついたひとつの扉でのみ仕切られているにすぎない。その扉は時々開くことがあって、あちら側にいる人の声が聞こえたり、あちら側にいる人の感覚が伝わってきたりする。ゴダールが映画のなかで提示した、あちら側の景色は、悠然とした水をたたえた湖の美しい夕暮れ時の景色だった。なつかしい、心の奥底でよく見知っているような、心安らぐ、おだやかで美しい景色。

現在、劇場で、このゴダール映画連続上映企画のためにあつらえられた、この上もない美しいパンフレット『Godard et Mieville 2003』を購入することができます。そのデザインのあまりの美しさには、ただ、ただ、ため息です。

このパンフレットには、普通の書物の外箱に相当するものがあり、その表のデザインには『右側に気をつけろ』の一場面からとられた写真が使われています。

あの、なんていうか、編み物をするとき毛糸の束を毛糸玉にしますよね。そのプロセスは大抵ちかくにいる誰かの手を借りてなされるわけですが(わたしの祖母は死ぬ直前まで自宅のベッドのうえで毎日のように編み物をしていたのですが----おかげで現在のわたしは、これから死ぬまでのあいだ全く困らないだけの数の毛糸のルームソックスを所有する、カラフル毛糸ルームソックス長者です(えへん←すこし自慢げ)----わたしは暇があると毛糸束の輪っかを両手にかけ、祖母が毛糸玉をつくるお手伝いをさせられたのですが、あれって、相手が毛糸の玉を作る速度に合わせなくちゃならないから、単純作業にみえるけど、実はけっこう熟練が必要で、途中で絡まって毛糸が途中で切れちゃったりしないようにもしなくちゃならないし…)、『右側に気をつけろ』のなかで、ゴダールは、飛行機に搭乗中、たまたま座席の隣に座り合わせたご婦人が毛糸玉をつくるお手伝いをして、両手に赤い毛糸の束をかけている。

ご婦人が毛糸玉をつくるお手伝いをして、両手に赤い毛糸の束をかけているゴダール。それが、このパンフレットの〈外箱〉の表に使われている写真です。毛糸の束を両側にピンと引っ張ったりはせず、毛糸の束を少し弛ませながら、ふんわりとやさしく両手にのせるようにして、その赤い毛糸をじ~っと見ている。その写真に写っているゴダールのその眼差しとその口元が作りだしている真剣でまじめそうでやさしそうな表情。紳士の表情。

というわけで、このパンフレットを部屋に飾りこの写真を眺め続けているわたしなのでした(チュッ)。

ふと我に返って要点を再度確認・強調:

【ポイント】パンフレット『Godard et Mieville 2003』は是非とも購入せねば。

(以上 April 18, 2003 更新)

    *    *    *

日本はゴダール先進国なのだそうです。70年代初頭にはジガ・ヴェルトフ集団作品が連続上映され、80年代にはブランド・イメージとしてのゴダール受容、2002年に始まった新旧ゴダール作品連続上映と「フォーエヴァー・ゴダール」大作戦、そして、なんと言っても、日本は『映画史』(全8章)が映画館で公開された世界唯一の国(聞くところによると、大阪で『映画史』が上映された時、長蛇の列が出来て、劇場関係者を驚かせたんですって。この話、なんだか、感動的でしょ?)。日本ってひょっとしてひそかにすごかったりして。

引き続き、ゴダール関係最新情報です。

◆『ベトナムから遠く離れて』(1967年製作 / 35ミリ / 監督:ジャン=リュック・ゴダールウィリアム・クラインアラン・レネクリス・マルケル他 / カラー・モノクロ / 日本語字幕付)3月14日(Fri) 6:30 p.m. ~ 東京日仏学院エスパス・イマージュにて上映会 (tomopoly さん、情報、ありがとう)

◆「とっておきゴダール4作品連続上映」

シネセゾン渋谷にて4月5日(Sat)より時限レイトロードショー開始! 上映スケジュールをお知らせしますね。

連日9:20 p.m. より。

◇4/5~18『右側に気をつけろ (Soigne ta droite)』SOIGNE TA DROITE (1986年度製作 / 監督:ジャン=リュック・ゴダール / ニュープリント)

◇4/22・23・27・28『勝手に逃げろ/人生』SAUVE QUI PEUT/LA VIE (1979年度製作 / 監督:ジャン=リュック・ゴダール / 無修正版)

◇4/19・20・24・25・30・5/1『ヒア&ゼア・こことよそ』ICE ET AILLEURS (1974年度製作 / 監督:ジャン=リュック・ゴダール、アンヌ=マリー・ミエヴィル / 16ミリ作品 / ニュープリント)

◇4/21・26・29・5/2『うまくいってる?』COMMENT CA VA (1976年度製作 / 監督・脚本: アンヌ=マリー・ミエヴィル、ジャン=リュック・ゴダール / 16ミリ作品 /★ 日本初公開!)

前売4回券 ¥4,000 発売中。

◆2003年3月31日(Mon)19:00-(18:30開場)紀伊國屋サザンシアター新宿南口 紀伊國屋書店新宿南店 7階)にてゴダールの『カラビニエ』の上映会開催。¥1,000(税込・全席自由)

http://www.kinokuniya.co.jp/...

◆シンポジウム「映画が21世紀を迎えるために―『ゴダールの映画史』以降」

2003年3月8日(Sat)2:00~5:00 p.m.

ギャラリーA(京王新線初台駅東口から徒歩2分,東京オペラシティ タワー4階)

青山真治(この監督の作品『ユリイカ』はすごいぞ!他の作品もすごいらしいけどわたしはまだ見てない。夏に2本が劇場公開されるらしいので楽しみ),浅田彰蓮實重彦堀潤

http://www.ntticc.or.jp/...

↑は、無事終了 

同シンポジウムはインターネット中継もされました。

GODARD 関連情報、その他にもなにかございましたら、Lucy まで、お知らせ下さいませ。

(以上 March 10, 2003 更新)

ゴダール映画 DVD 発売情報】

◇『パッション (Passion)』 (無修正、デジタルニューマスター版)2003年1月21日 発売。TCD-1057、発売元:東北新社 ¥3800 

◇『ゴダールのマリア (Je vous salue, Marie/Le Livre de Marie)』(デジタル・リマスター版) 2003年3月20日 発売予定 ¥4,800

◇『カラビニエ (LES CARABINIERS)』2003年3月20日 発売予定 ¥4,800

http://www.kinokuniya.co.jp/02f/d12/...

◇『恋人のいる時間 (Une femme mariee)』2003年5月21日発売予定 COBM-5231 ¥4,700 

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